ネズ神博士登場(5)
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『市立公園ノ 南ニ 進ンデクダサイ』
オーブファイブ各自のヘッドギアに内蔵されたレシーバーが、タンタンからの指令を受信する。
「採石現場ね?」
『ソウデス。ソチラニ おーぶめかヲ 転送します』
『街の被害は最小限にとどめるんだ。ネズボルトとやらを、採石現場へ誘導してくれ。我々もそちらへ向かっている』
「ラジャー!」
「司令、だどもあんな岩場にいったら、ネズボルト、ますますでがくなんじゃねっすか?」
マルの心配ももっともなことだが。
『いや、管理会社に確認したら、あそこには電気が引き込まれていないそうだ』
「なら、巨大化率は少ないかもしれないですね」
『そういうことだ。頼むぞ』
「ラジャー! みんな、体力温存しながら、適当にちょっかい出して、誘導よ!」
「ラジャー!」
「何をごちゃごちゃ言っておるのだ!」
ネズボルトの頭の上に、我が物顔で立つ淑大僧正。
「えい!」
「やぁ!」
5人は、それぞれに、キックやらパンチやらを浴びせつつ、後退。
「ブギャッ! かゆいかゆい! そんなもん、効かないよぉ」
ネズボルトも、不敵な笑いを浮かべ、足にまとわりつくオーブファイブらを払う。
「もうちょっとで、採石現場よ!」
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「肇間さん、俺らも、採石現場へ行きましょう」
尾藤は、もう走り始めている。
「まぁ、そのために来たんですけどね。敵があんなヤツだとは思ってなかった」
肇間は、ちょっとがっかりしている。
「大丈夫。そのバズーカも、使えますよ!」
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採石現場まで着くと、5機のオーブメカがあった。
「行くわよ!」
「ラジャー!」
皆が乗り込み、飛び立つオーブメカ。
「チェンジ合体、オーブロボ!」
5人が叫び、それぞれのシンクロレバーを引く。
グゥィィン!
メカは見事にひとつになり、人型のロボットになった。
「お久しぶり!」
ロボに変形後は、有機転送で、各メカの操縦席が、中央に集結する。
「(チオリ)通信接続、OK!」
「(カオリ)レスキュー回路、OK!」
「(マル)エネルギー炉、OK!」
「(ユウカ)セクション伝送システム、OK!」
「(ミキ)オーブロボ、制御シンクロ、OK! GO!」
「(全員)ラジャー!」
全長50メートルのオーブロボと同じくらいにまで巨大化したネズボルトが、迫ってきた。
「来たわよ!」
「行け、ネズボルトよ! 貴様なら、勝てる!」
「ブギャーー!」
突進してくるネズボルトを、迎え撃つオーブロボ。
ネズボルトも、抵抗する。
「なんてパワーなの? まわりを壊さないようにやってるけど、これじゃ、通用しないじゃない!」
ミキが苛立つ。
「えいっ!」
目一杯、腕を振る。そのオーブロボのパンチが、ネズボルトの腹にヒットした。
「ブギャー!」
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オーブクローラー内、司令室。
「苦戦シテマスネ」
タンタンも心配そうだ。
「この状況が、こんなに早くくるとはな。読みが甘かった」
「状況……デスカ?」
「うむ。オーブファイブの能力覚醒スピードが、予想以上に早い」
虎ケン司令は、悔しそうにつぶやいた。
「5人の覚醒に、マシン性能が付いていけなくなってきているんだ。馬場ちゃんには以前から指摘されていた予想だったんだが……いや、それにしても、彼女たち5人は、大した物だよ」
「トニカク 急ギマショウ!」
「そうだな」
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肇間と尾藤も採石現場に着いた。
「淑大僧正!」
尾藤が呼ぶと、ネズボルトの頭の上で、淑大僧正が返事をした。
「おぉ。尾藤! さぁ、こっちへ来い!」
「何を訳の解らない事をいっている!」
「……ふっ。まぁいい。貴様も、踏み潰してくれるわ! 待っておれ!」
肇間は、何やら携帯パソコンを操作している。すると、手のひらの割り箸状の物が、大きくなった。バズーカだ。
「いきますよ!」
バズーカを肩に構えると、肇間の表情が輝いた。
「てぇいっ!」
ボゥォム!
弾は、ネズボルトに命中。
「ブギャ!」
そのまま後へ倒れた。
「おのれぇ!」
放り出された淑大僧正は、凄まじい形相になっている。怒ってもしょうがない。
「お前の欲しがっているのは、こういう物か!?」
尾藤がレーザー銃を撃つと、淑大僧正の杖が半透明になり飛ばされた。
常温超伝導体含有の超指向性レーザー銃だ。これを大僧正の杖に掃射し、磁場をゆがめたのだ。
「うぉっ、我の杖を……このぉ!」
一応凄んではみたが、杖を失い、うろたえる淑大僧正。
「やりますね、尾藤さん!」
「いや、実は、まだ大きな物には効かないんですけどね」
尾藤は、肇間にこっそり白状した。
その時。
「淑大僧正、無様だな!」
いつの間にか、岩山の上に、男が立っていた。
その岩山を仰いで、淑大僧正が言った。
「ネズ神博士!? なぜ、出てきた。隠居しておればよろしかろう!」
「好きで出向いたのではないわい! 邪魔皇帝お直々に頼まれたのじゃ」
ネズ神博士は、淑大僧正に、蔑むような視線を浴びせる。
「うるさい! 放っておいていただきたい!」
「では、やって見せい、淑大僧正!」
「なんだ、あのジジイは」
「さぁ? でも、油断ならんですね」
肇間と尾藤は、武器を構える脇を引き締めた。
「何んだ? ネズ神博士? ネズロンなんだろけど、あのジイサンと大僧正、仲間割れてねぇか?」
マルは呆気にとられている。オーブロボ中央操縦室では、どうしていいのか解らなくなっているようだ。
玉猫戦隊オーブファイブ 第13話「出た!最強最悪の新幹部登場だぞ!」より
ねこぱんち!
→不条理み○きー:【玉猫戦隊オーブファイブ】 メイン・リンクリスト
コメント
肇間博士の重火器マニアっていう設定は、非常においしい設定になってますね。
レーザー光線銃って、もしも今の技術で作ろうと思ったら、とんでもなくばかでかいもになるんですってね。ピストルくらいの大きさだったら、レーザーポインターの強力なやつくらいにしかならないらしいですね。
しかし、光線銃ってのは、あこがれました。
今でもあこがれですけど。
【玉猫戦隊オーブファイブ】 メイン・リンクリスト (全166編 増加中)
最終更新日:2004.12.02 AM10:50タイトルをクリックすると主題歌が聞けるよ! 「玉猫戦隊 オーブファイブ」をご愛顧いただき、有難う…
★びといんさん
今ごろ、のこのこすんません。
なんだか、風邪引いたらいろいろ、億劫で。^^;
なかなかドンパチがいい感じで、次回も楽しみです。
私も次回、メカ重視で行こうかなぁ。
おぉっ! 待ってました。
オーブロボ合体が初めて出てきましたね。
常々不思議に思ってたのですが、
なるほど、操縦席がみんな一箇所に集中するんですか。
どうりで、そうじゃなきゃ、パンチとかエルボーとか、怖くて出せなくなりますよね。
それにしても、全長50mとは・・・かなりでかい!
合体時のやりとり、かっこいいですね。
オーブファイブの能力覚醒、将来への布石ですね。強いインパクトを感じます。
ネズ神博士と淑大僧正との軋轢、
ますます面白くなってきました。
個人的には、もう淑大僧正に愛着を感じてるんですが、彼はこの後どうなるのだろう・・・。
すしバーさん江
肇間さんは、結構どうにでも扱いやすいキャラです。すしバーさんの「重火器マニア」って設定、ナイスです。あくあmでも専門は物体の圧縮。重火器は「趣味」なんですよね。温厚そうな外見に秘められた危険な性格。おいしすぎです。
ぷよぱぱさん江
風邪、だいじょうぶですか。
んー、メカ主体にしたいというか、早く「猫背」を登場させたいんですが、伏線張りまくってしまい、自分の首を締めてしまいそうな状態です(笑)。
淑大僧正の最期とネズ神博士の表舞台復帰がメインなんで、なんとか収束させなくては。
agricoさん江
オーブロボの合体後の操縦席。俺も疑問に思って、すしバーさんに相談したら「理屈もなく、とにかく一ヶ所に集まるようにしましょう」ということになりました。
一応「有機転送」なんていう単語をでっち上げてみましたが、たぶん、これは馬場鉄工所の技術の集大成ですね。
もちろん、あぐりさんの生物学も加味されているでしょう。
まぁ、理屈じゃなく、とにかく集まるんです(笑)。
いままで誰もチャレンジしてなかったメカ戦ですね。ヒーローものでは欠かせないですね。
オーブファイブの能力覚醒スピードの下りはアムロのニュータイプ能力とガンダムの関係みたいですね。
オーブロボも途中で3倍くらいにパワーアップするわけですな。
敵型の仲間われとか描写が細かい。これもヒーローものには欠かせないかな。
ポイントポイントでちゃんとツボを抑えていていい感じですね。
次回の必殺技に期待してますよ!
通勤マンガーZさん江
メカ戦といっても、対メカではなく、敵はネズロン怪人(巨大化)ですからねぇ。中途半端。
ネズ神博士はメカ物を出してきそうですね。
能力覚醒スピードの件は、そのとおりです(笑)。
敵の仲間割れ等、今回は、ヒーロー物の王道で攻めてますから。
でも、もうちょっと短くまとめろって感じですかね(笑)。
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