びと辞宛「あまかける」

あまかける[天翔ける]
神や人の霊などが大空を飛ぶ様子。
関連語→天下る

「やあ、あなた、なんだか元気がありませんな」
「さっき自殺したばかりだからでしょうか」
「新人さんでしたか。なぁに、この世界は慣れれば快適ですよ。気持ちよくて」
「なるほど、ふわふわしてますね」
「でしょう。こうして大空を漂っていると、生きていた時とは比べ物にならないほど幸せな気分でしょう」
「うむ。段々、そういう気持ちになってきました」
「それはよかった。ところであなた、なぜ自殺などなさったのです?」
「私は、元々は役人だったんですけど、去年定年退職したんです」
「ほうほう」
「ですが、この不況で再就職も思うようにいかなくて……」
「天下りできなかったわけですな」
「そうです。で、その後自暴自棄な生活が続いて」
「かわいそうに」

びと辞宛「序」

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10 thoughts on “びと辞宛「あまかける」

  1. 新作落語の雰囲気があります。
    情景描写なしでもわからせることができるもんですねぇ。

  2.  はい。二人の会話だけで進行する小説、得意でした。
     今回のやつ、落語と異なる点は「オチがない」というところでしょうか(笑)。
     そのせいで、微妙な読後感があります。既存作ですが、これはこれで味があるかと思い、修正せず掲載しました。

  3. >落語と異なる点は「オチがない」

    え、オチありますよね。
    「天下れず、天翔ける」
    ってのは「うまいなあ」と思ったんですが。
    ねえ、すしバーさん。

  4. マンガーZさん江
     まぁ、そこの所は狙った部分ですが、昨日掲載する前には、
     悪人ではないが自殺なので、天国行きか地獄行きか、まだ確定していない。死んでさえも中途半端な状態、とか、
     先輩はもうすぐ生まれ変わりの順番が回ってくるが、あなたはまだまだだよ。天界も人が溢れ返っているからね、とか……
     オチを色々考えてはいたんですよ。
     最終的には加筆修正せずに掲載しました。

  5. すしバーさん江
     その通りですね。
     いや、本音としては、昔の作品なので、放ったらかしでいいかな、という感じです。

  6. なるほど、何もつけないのが「粋」ってやつなんですね。
    野暮でしたあ。江戸っ子じゃないんで(笑)

    俺もオチつける派ですね。この辺SAGA生まれで西側の人間の血があるのかも。
    「落語」もすきですが、
    実は「新喜劇」も好きですし。

  7. びと辞苑「いまがわやき」

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