玉猫戦隊オーブファイブ　ネズ神博士登場(4)

　ネズ神博士登場(4)

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「ブギャー！！」
　ネズボルトが、オーブの5人を目がけて突進する。しかし、5人は、さらりとかわす。
「そんな動きじゃ、全然ダメね！」
　ブルー・ユウカは、腰のチップを取り外し、それを握ると大上段の構えをとる。
「オーブ・ソード！」
　淡い閃光とともに、剣が実体化した。
　そのまま、振り降ろすと、ネズボルトの頭が凹んだ。
「ブギャ！　痛いじゃないか！」
　よろけるネズボルトに、イエロー・マルが、追い討ちをかける。
「おめ、そんなよろけて。腹減ってるのか？」
　パンチを連打。
　少し後方にいたピンク・カオリが、メンバーに目で合図をすると、みな、ネズボルトからよけた。
「いいわね、いくわよ！」
　カオリは、イヤリングを外すと、ネズボルト目がけて投げた。軽い爆発。
　イヤリングは、低発爆弾なのだ。ビルの屋上なので、この程度の物しか使えないが、それでも効果は大きい。
「ブギャ！」
　ガラガラガラ……。
　爆発で、屋上スラブに穴があき、ネズボルトは下の階へ落ちていった。
　それに巻き込まれ、ネズロン兵のほとんども消えた。
「淑大僧正は！？」
　レッド・ミキが辺りを見回す。
「一緒に、落ちたの！？」
　カオリが言うと、穴に近寄ろうとした。その瞬間。
　穴の周囲が盛り上がり、ネズボルトが「顔」を出した。
「うわっ。でけぇ……」

　マルが、思わず後ずさり。
　ネズボルトは、二回りほど大きくなっていた。
　そのネズボルトの背中に、淑大僧正がしがみついていた。
「ふはは、ふははははっ！　どうした、小娘ども！　かかってこい！」
「しぶといわねっ！」
　オーブの5人は、かわるがわる打撃攻撃をする。
「ブギャーーー！！」
　何度目かの攻防の後、ミキが気付いた。
「あいつ、瓦礫に埋もれるたびに、ひと回り大きくなってない？」
「！！」
「気付くのが遅いわ！　このネズボルトは、瓦礫と電気で巨大化するのだ！」
　淑大僧正が、ネズボルトの肩にへばりつきながら言った。
「なんてこと！　……チオリ！」
「ラジャー」
　ミキに呼ばれると、パープル・チオリは頷き、リストバンドに内蔵されたコンピュータを操作した。チオリのオーブパーツには、オーブの各施設や機器に接続できる機能が搭載されている。
「オーブメカを要請したよ！」
「今さら、小細工をしても、無駄だ！」
　淑大僧正は、ジャンプすると、そのままビルに向けて杖を振った。波動とともに、ビルが崩れはじめる。
「危ない！　ひとまず散開！」
　崩れ落ちてゆく廃虚ビル。
　5人が周囲の地表に着地する。
「変じゃない？」
　ユウカだ。
　ビルは崩壊するが、その陰の高さは、ほぼ変らない。
　いや、ビルが、徐々に人型に変っていくようだ。
「あの、ネズボルト？……崩れる瓦礫を……吸収してるっていうの？」

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「うわ。あんなに壊しちゃって！」
　少し遅れて現場に到着した肇間と尾藤は、唖然としていた。
「しかし、こんな街中だと、これ以上被害拡大できませんね」
　肇間は、手に割り箸のような物を握りしめている。
「行きましょう！」
「尾藤さん、生身でこれ以上近づくのは、危険ですよ……ん!?」
「どうしたの？」
　肇間の携帯パソコンに、サテライトＺ経由の暗号回線で、チオリから情報が届いた。
「あのネズロン怪人、瓦礫と電気を吸収して巨大化するらしいです」
「なんだよ、それ。じゃ、あんなビル壊したら、敵の思うつぼじゃないか……あ、ほら、なんかでかくなってません？」
「オーブメカ呼んでるんで、もうすぐくるでしょ。なるべく被害の少ない、市立公園の南に誘導しましょう」
「いや、そんな悠長なこと言ってられないかもしれないっすよ」
「……そうかもしれないですね」
　肇間は、馬場鉄工所へ連絡を取った。
「あ。こちら現場の肇間です。「猫背」の準備、しておいてください」
『……え、でも、あれはまだ最終調整が……ちょっと待ってください、大将ぉ……』
　回線の向うで謎野が動揺している。
　すぐに、モニタに馬場が現れた。
『準備しときます！』
　馬場は、サムアップしつつ、力強く、ひとことだけ、言った。

　(5)につづく

　玉猫戦隊オーブファイブ　第13話「出た！最強最悪の新幹部登場だぞ！」より

ねこぱんち！
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