十三回忌

 決して忘れていたわけじゃないよ。むしろ気掛かりだった。
 色々と忙しくて、遅くなってしまった。ごめんね。

 11月7日は、たまの命日。今日、遅くなったけど、墓参りに行ってきた。

 1994年の晩春。職場の先輩が保護した君をもらい受けたのは、雨の日だったね。
「子猫を拾った。面倒みないと死んじゃうんだよ。うちで飼う。今晩連れて帰る」
 嫁さんに電話して、もう、有無を言わさず連れて帰った。
「ネコの名前は、「たま」に決まってるだろう」
 俺はそう押し通し、決定した。
 生まれて数日という状態で、手のひらに乗せても余るというほどの小ささだった。
 それ以前にも何匹かのネコと暮らした事はあったけど、せいぜい1ヶ月くらいの子からだったから、君みたいに小さい子は初めてだった。
 弱っていたので、スポイトでミルクを与えたね。便のさせかたとか、獣医さんに教わりながら、家族で世話した。
 数日後、よちよち歩き、やがてしっかりとした足取りになった時には、本当に嬉しかった。

 しかし。11月に、原因不明の突然死。
 たま。半年という短い期間で、あっという間に行ってしまったけど、我が家に君が居た事は忘れない。忘れられようはずがない。

 君と一緒に遊んだ2歳だった娘は、来年高校生だよ。
 君が亡くなった翌月に生まれた息子は、毎年君の墓参りをしてくれてた。
 君の同族で、後に家族になったにゃあは、君の分も元気で、もうそろそろ10歳になるよ。

 たま。君との暮らしで学んだこと、忘れないよ。

コメント

  1. someday より:

    どれだけ時間が経過してもびといんさん忘れないでいることにを
    たまくんも喜んでいると思います。
    そしてそれは素晴らしいことだと思います。
    びといんさんと出会えて過ごせてよかったね、とたまくんにお伝えください。

  2. きょう晋作は、電話したかったみたい。
    しかしきょう晋作は、我が家は決定したかった。
    しかしここに職場とか決定するつもりだった?
    しかしびといんで決定しないです。

  3. びといん より:

    somedayさん江
     一緒に暮らした家族を忘れることなんか出来ないですよ。
     ちなみに……たまはメスです(笑)。

  4. まみぃ より:

    やっぱり、タマのような男の子っていうくらいだから日本だと
    タマはどちらかとゆーと男の名なんだね。
    サザエさんに出てくる白猫のタマはどっちだっけ?

  5. びといん より:

    まみぃ江
     いや、子猫は玉(昔では鞠や毛糸玉)が好きだから、タマなのでは?

     サザエさんちのタマはオスだけども。