ノルマ凄いっす

 俺の本業は建築士。小さな建築設計事務所を営んでいる。おかげさまで、家族でなんとか生活できる程度の収入を得る事が出来ている。

 昨今のご時世でテレワークが急速に広まったが、組織に属していて勤怠管理されている方々(詳しくは知らないが、テレワーク時でも手元のPCでタイムカード的な処理をやるのでしょ?)とは違い、コロナ禍以前より自宅の一室を仕事部屋にしての個人事業主でいる身なので、良くも悪くも勤務時間は曖昧だ。本当は曖昧じゃいけないんだろうけれど。
 事務所のwebサイトにも記載している公式の営業時間は18時までだが、その後もついつい何かしらの作業をやってしまう。

 それとは別に、現在はやることが多くかなり忙しい状態で、毎晩のガンプラ作りもあまりできていない。

 建築設計の仕事そのものは好きで性に合っているらしく、設計的にならどんなに面倒臭い案件でもあまり苦にはならないが、繁閑の差が激しくて、業務量その物が過大になり3、4時間の睡眠が数日続くこともあれば、半日空いてしまうこともある(ありがたいことに、丸1日とか数日ヒマということは滅多にない)。

 うちの事務所は、ハウスベンダーさんや不動産屋さんからのご依頼で基本設計までできた案件を実施設計に仕上げて建築確認申請や工事監理を行うような業務がほとんどで、ゼロからの設計依頼というのは、年に1件あるかないかだ。
 いってしまえば、サポート専門の設計事務所。
 なので、デザイナーズハウスの設計を年に数件とか、設計料は物件価格の1割が相場でしょとか、世間で思われているような都市伝説に近い優雅なものではない。
 そもそも、東京の東の端でひっそりと営んでいる無名の建築士にすぎない。
 そんな俺にも仕事をいただけるのはありがたい事だし、基本設計からのお声掛けがあった時には、それこそ狂喜乱舞するほどの嬉しさを感じる。

 マネジメント能力が絶望的に下手というのもあるが、仕事が途切れた時の方が怖いので、キャパ寸前の時でも受けられる仕事は極力受けてしまう。
 ノルマ——とは言わないのかな、個人事業主が自分の意思で受けた仕事量なので——がいっこうに減らない日もままにある(笑)
 我が敬愛する植木等先生の「無責任シリーズ」の主人公のように、もう少し要領が良い人間になりたい。もちろん、無責任にはならず(笑)依頼された設計の品質は落とすことなく。

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