../000/電介
../000/ユウジ
../000/ユウコ
「ケッコン、しようね」
ユウコがユビキリをねだる。
「うん。ケッコンしようね」
ユウジは、反射的に答えて、小指をのばす。
「ヤクソク、ね」
「もちろん」
その返事を聞いて、ユウコは、顔じゅうで笑う。
……
「ユウジ、遅刻するよぉ!」
勝手知ったる他人の家。玄関で靴を蹴り外し、ドカドカと入っていく。
「おばさんっ! おはようっ!」
「おはよう、ユウコちゃん」
半ば公認だ。ユウコの人徳ともいえる。決して悪気ではないし。
「おはよ」
「まったく、ユウジは、朝、弱いんだからっ」
そういって、手を引くユウコは、それでも嬉しそうだ。
「いってきまーっす!」
元気な声が玄関の外へ消えていく。
../001_着任 に続く。
コメント
三作イッキ読みいたしました。
過去に「あぶすとらくと」で読んだ気がしないでもないけれどほとんど記憶の彼方に消え去っておりました。
なんていうか点描的で、まだまだ物語が見えてきませんな。……って当たり前か、序章だもんね(笑)。
まあ、ここで文芸批評しても仕方がないですな。
以後、展開が楽しみであります。
ろぷさん江
この小説、初出は14年前です。
当初は「ディスク上に詰め込まれたプロットやネタ帳から、なんでも引っ張り出して繋げて小説にでっちあげる」みたいな企画でした。
で、このリライトも、最終回はほとんど書き上がったいるんですよね。俺はいつもそうなんですけど、最終回に向けて話を構築していくんだけど、その過程がすごく遅筆で(笑)。
フラグメントファイルあるいはエージェントのための仕事部屋[evolve]../001
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