びと辞宛「あまかける」

あまかける[天翔ける]
神や人の霊などが大空を飛ぶ様子。
関連語→天下る

「やあ、あなた、なんだか元気がありませんな」
「さっき自殺したばかりだからでしょうか」
「新人さんでしたか。なぁに、この世界は慣れれば快適ですよ。気持ちよくて」
「なるほど、ふわふわしてますね」
「でしょう。こうして大空を漂っていると、生きていた時とは比べ物にならないほど幸せな気分でしょう」
「うむ。段々、そういう気持ちになってきました」
「それはよかった。ところであなた、なぜ自殺などなさったのです?」
「私は、元々は役人だったんですけど、去年定年退職したんです」
「ほうほう」
「ですが、この不況で再就職も思うようにいかなくて……」
「天下りできなかったわけですな」
「そうです。で、その後自暴自棄な生活が続いて」
「かわいそうに」

びと辞宛「序」