「機動戦士ZガンダムII 恋人たち」(以下「ZG2」という)を見た。
まず言いたい事。
御大……嘘つき! もちろん普通の意味で。
第1部の公開直前のインタビューの中で「映画で三部作というのは、全体を通して破綻がないのはもちろんだが、各作品毎に単独でも成立し楽しめなければいけない。そうでないと映画ではない」という主旨のことを言っていた御大。
全体での破綻はともかく、ZG2単独で楽しめる物じゃないどころか、ストーリー圧縮しすぎ。約20年前、TV版をリアルタイムで観ていたガンオタである俺でも、慌ただしさを感じ、よく分からない印象を持った。
第1作以上に「既存のファン以外はまず観ない”映像”」だと思う。
実際、公開から一週間経過した17時からの回という中途半端さとはいえ、250人入る劇場が半分くらいだった。錦糸町駅前だぞ。
もしも興行的に成功だとしたら、素直に喜びたいが、それは、御大がいう「もっと若いファン」じゃなく「おっさん連中が観たのだよ」と、あえて言おう。おっさんファンのパワーに感謝しろと。
さて。さらに細かく書く以下はネタバレっぽい記述もあるので、読まれる方は、御承知ください。
新旧作画のギャップによる違和感はあまり感じなかった。
第1部を何度か観た後なので免疫ができていたからかな。
第1部では同じシーンでも新旧作画がカット毎に変わる所がいくつかあって見苦しかった。それよりははるかにマシ(笑)。
しかし、ストーリー以上に楽しみにしていた(新作画により迫力を増した)MS戦闘シーンが少なかったのは残念。全体的に新規作画の割合は第1部より増えているらしいが、逆に少なかったような印象すらある。たぶん、TV版でパースやデッサンが不自然な箇所の差換えがメインだったんじゃなかろうか。
CVについては、俺は基本的には少佐さんとは真逆の意見だな。
ゆかなさん演じるフォウは、もちろん違和感はあるものの、許容範囲内。池脇千鶴さん演じるサラは、TV版とイメージ違いすぎ。
フォウは、声のトーンがだいぶ違ったが、シロッコの変化(笑)よりは全然オッケー。なんというか、表面上の優しさを出し切ってないという印象だけど、強化人間としてはそんなもんだろうと。
あのにじみ出るキツさは、もしかしてロザミアのニュアンスも少し入ってないか?と想像してしまった。さらに言えば、第3部ではロザミアにフォウのニュアンスを入れるのでは?と。
だってフォウ、あそこで死んだでしょう。たぶんキリマンジャロはカットだな。
本当は御大はフォウとロザミアを、どっちかひとりにまとめて登場させたかったんじゃないかな。
それと、ZG2ではカミーユはフォウに惚れてはいないんじゃないかと。さらに、(死んだかどうかはまだ分からんけど)ベンウッダーに撃たれた事も知らない様子。だから宇宙に上がった直後、ファにキスをせがんだ。年頃として素直な行動という演出ゆえだろうと思う。
サラはねぇ。スクリーン観てても、どうにもサラに見えず、ちーちゃんに見えてしまうんだよ。ちーちゃんファンなので思いっきり既成概念とか固定観念とかにしばられているだけだとは分かっているんだけど。決して下手ではないんだけど、生身で演じている印象というか、キャラクターにはなりきっていないと感じでしまった。
フォウとは逆に、サラのキツさがまったくなくなっていて、ただの女の子になっちまってる。そういう演出で、それ故のキャスティングだとしたら成功なのかもしれないが、だとしたら、それでシロッコを慕うというのは、ある意味かなり痛いキャラになっちゃってる訳で。
良い悪いじゃなく、こう思うのは分かっていたから、サラ役がちーちゃんと知った時に愕然としたんだよな(笑)。
セリフが色々変更になった中で、ブランの「アッシマーがぁ!」がそのまま残っていたのは、嬉しい。
微妙に名セリフなこれ、大好きなんだよね。
撃墜されて死ぬ時って、ドラマ的には普通はカクリコンの「アメリアー」とか、マウアーの「守るっていったろ……」あたり、もしくはガルマの「ジオン公国に栄光あれー!」でしょ。
それらに比べたら、意味がよくわかるようでまったくわからんよね、ブランの最期のセリフは。
ヘンケン艦長は漢だよね。これは少佐さんに同意!
数々のセクハラまがいのセリフも、許す。職権乱用でエマをラーディッシュに移管させたのも、許す。
たぶん多くの男が、あんたみたいなもんです。エマにズバリと告白できずにいるんだよ。
あ、そういえば、マクダニエル店長に変装するのがカットになったね。どうでもいいけど(笑)。
ウォンさん、カツ,ベルトーチカは、カミーユ同様、皆おとなしくなり(笑)、それぞれ普通の出資者、普通の新兵、普通の恋人になってた感じ。総集編としてはよし。
つーか、TV版のカツは鬱陶しすぎたからな。
TV版では曖昧だった、レコアがシロッコの元へ行った理由。これが明示されていたね。ふっ、これがクワトロ大尉か……。
ノーマルスーツ着用時とキスとどっちが大切なんだよ……。
そりゃ笑うしかないよね、レコアさん。
最後に登場したアクシズ勢。白いガザCのハマーンは、最高。
いや、ハマーンの存在感って凄いわ。このラスト数分で全部持っていきやがった。
っつーか、それまでの内容が薄過ぎるんだけど……。
文頭で延べたように、ZG2は、映画として成り立っていないと思う。
第1部は、もちろん序盤がちゃんとあり、ラストでアムロとシャアが再会するのをカミーユが立ち会うという盛り上がりで幕。単作品として成り立っている。
第3部も、おそらくダカール演説くらいからはじまり、完結まで。当初から「新訳はハッピーエンドにする」と言われているので、あらゆる意味で期待は持てる。
それらに比べて、ZG2は、単なる「つなぎ」の域を脱していない。それぞれのキャラが立っていないし、キーである(あった)はずのフォウですら、存在が曖昧だった。
ストーリーも、まったくわからないよ。ただのダイジェストだ。
これなら、無理に「約90分」にこだわるよりも、2時間半の前後編=計5時間くらいにした方がよかったんじゃないかな。
しかし、これをみないと第3部がわからない。なにしろ「つなぎの話」だからね。
ってことで、結論としては、大画面の迫力を求めるかリアルタイムで確認したいガンダムオタク以外にはお勧めできない。
たぶん第3部公開直前にリリースされるDVDを借りてきて観るか、今流れている様々な情報を収集するだけで十分かと。
コメント
実際「映画」ではなかったですよね。
はしょりすぎて。
ガンオタのびといんさんでもそういう感想でしょ?
一般ガンダム好きの私が観たら意味不明でしたわw
まぁでも3部作の真ん中なのでこんなもんじゃないすかねぇ。
ラストがよければ全部チャラってことでw
あるてぃさん江
ZガンダムのTV版自体が話詰め込みすぎで登場キャラ多すぎでしたからね。これを約90分*三部作にさらに詰め込むのが無理に近いかと。
三部作の真ん中でも、初代の第二部「哀戦士」なんか、ランバ・ラルの登場から始って、シャアがザンジバルで宇宙へ上がる所までと、一応の区切りを設けて、単品としても楽しめましたよ。
劇場版『機動戦士ZガンダムII -恋人たち-』を観た
おとついですね。劇場公開初日に観てきました、『劇場版・機動戦士ZガンダムII 恋
劇場版の方がクワトロの女心分からなさ加減は鮮やかに描かれてましたね。ダメだよ、大佐! しかも最後にハマーン追いかけてきてるし。
いろんな意味で『哀・戦士』にはなりきれませんでしたね。
劇場版Ζガンダム 恋人たち感想
公開3日目に見てきました〜やはり女同士で見に行っているいませんでした(笑)ってなわけで感想。やはりΖいいっ
少佐さん江
劇場版のクワトロは、うじうじしてなくて戦闘では強さが増して「さすが赤い彗星」というような活躍っぷりですが、女心分からなすぎですよね。だからいつまでたっても嫁ももらえんのですよ(笑)。
まぁ、各キャラの性格を単純化して立ち位置をハッキリさせる演出らしいですけど。
まだ見てないんでアレですが、映画っぽくないのは、音楽がいまひとつだからではないでしょうか。ストーリー端折ってても、ストーリーに合った歌があると雰囲気で見れちゃったりします。
哀戦士なんかモロにそんなカンジ。
mishimaxさん江
確かに ZG劇場版は、音楽の印象が薄いです。でも、それだけじゃないっすよ。まず、期待が大きいってのがありますね(笑)。
っつーか、哀戦士が希有の出来なんですよ。
あれはツギハギ総集編の名作です。もちろん良い意味で。
なまじっかあれで成功しちゃったから、御大は、再編集を、手法のひとつと思い込んでしまっているのかも。