玉猫戦隊オーブファイブ ネズ神博士登場(0)

 ネズ神博士登場(0)

 暗雲が覆う空。
 雷鳴がとどろく中、大型の鳥が一羽、飛んでいる。
 いや、鳥を模した小型飛行艇、邪魔ソプターだ。
 ソプターは、その前方にぼんやりと浮かぶ、岩とも宇宙船とも見える巨大な浮遊要塞=幻魔城に吸い込まれるように入っていった。

:–

「邪魔(ジャマー)皇帝閣下、お呼びでしょうか」
「淑大僧正! ドウナッテイルノカ!」
「はっ。タマテクト採掘基地の件、全力をあげて取り組んでおります」
 淑大僧正は、大きくかがみ、返事をする。
「エェイッ! ソノヨウナ戯ケタ事デ通用スルト思ッテオルノカ!」
 謁見室の奥から、邪魔皇帝の声が響く。
「おーぶ奪還ハ、ドウナッタノジャ! ちまちまシタ事ナド、ワシハ求メテオラン!」
「はっ!」
「一刻モ早ク、まいくろどらいぶヲ完成サセルノジャ。淑大僧正、貴様ハ「そのためだけに」見込ンダノジャ。ソレガ出来ヌトアラバ……」
「はっ。心得ております、皇帝閣下」
「亜空間トノ行キ来ハ簡単ジャ。ダガ、亜空間デハ何モデキヌ! コノ三次空間ヲ支配シテコソ、真ノ帝国ジャ!」
「如意!」
 返事をする淑大僧正の拳が、小刻みに震えていた。

:–

「もう、やんなっちゃう。台風が上陸するまでは、まだ27時間はあるはずでしょ!」
 水しぶきをあげて、自転車をこぐミキ。
「まったく、リーダーを何様だと思ってるんだろ」
 猛ダッシュ。乗っていた自転車を放り出し、ビルに飛び込む。
「ふぅ!」
 まるでシャワーを浴びた後の猫のように、手を広げ上半身を震わせる。しかし、そんな事をしても、無意味だ。
 エスカレーターを降り、工場(オーブ特種装備開発研究部の通称)の研究室に駆け入る。
「はいっ! 肉まんと、ハーゲンダッツ!」
 ミキが差し出した袋は、ぐしゃぐしゃだ。
「おい、なんだよ、そ……」
 言いかけた黒島の口を塞ぎながら、大岳がミキに近寄る。
「ありがと」
 袋を受け取ると、水浸しの中身をひとつずつ取り出している。
「ミキ、シャワーしてきな。……ほぅら、うまそうだねぇ」
 ふやけた肉まんにかぶりついた。
「俺も、いただきます」
 尾藤がそう言ったのをきっかけに、皆が寄ってきた。

:–

「大将、ネズロン反応です!」
 定時スキャンをしていた謎野が叫んだ。
「強力です。ですが、反応があった周囲には怪人はいないんですよ。今のところ、被害もないです」
「なんですと! その回線、クローラーへもつないでください」
「了解!」
 その時。
<特務機関KINUSAYAの諸君……>
 通信スクリーンに、淑大僧正の顔が映った。

 (1)へつづく

 玉猫戦隊オーブファイブ 第13話「出た!最強最悪の新幹部登場だぞ!」より

ねこぱんち!
不条理み○きー:【玉猫戦隊オーブファイブ】 メイン・リンクリスト

コメント

  1. びといん より:

     色々考えたんですけど、壮大になっちゃったので、小刻みにアップします。たぶん、このペースで(10)くらいまでいきます。
     ごめんなさい。

  2. 【玉猫戦隊オーブファイブ】 メイン・リンクリスト (全124編 増加中)

    最終更新日:2004.11.08 AM10:02タイトルをクリックすると主題歌が聞けるよ! 「玉猫戦隊 オーブファイブ」をご愛顧いただき、有難う…

  3. ぷよぱぱ より:

    ★びといんさん
     始まりましたねぇ。^^
     追い詰められた淑大僧正がどうでるのか?
     気になるところです。

  4. すしバー より:

    さてさて、皇帝も話しに出てきました。
    ほぼ、話の核は定まり始めてきてますね。

  5. 早池峰の攻防 (第1回)

    発進、1分前ユウカはもう一度振り返る。デッキには、デジー3号が心持ち心配そうな表情でユウカを見つめていた。元々ロボットなのだが、時に人間のような表情を見…

  6. びといん より:

    ぷよぱぱさん江
     淑大僧正のことですから、きっとずる賢い事をたくらんでいると思います。

    すしバーさん江
     皇帝は、第1話にもちょっと登場しましたけど、こんな感じでよかったでしたっけ(笑)。

  7. 私が考えている皇帝像は、結局のところ、日本を愛してるんですよ。しかし、今の日本は昔の美しかった日本ではない。じゃあ、全部ぶっ壊して思いどうりの日本にしちゃおう。というのが破壊の原動力で、日本中心に破壊活動を行う理由だと思ってます。大僧正は、その皇帝の後ろ盾を使って好き勝手やりたいだけなんでしょうね。あと、コウモリ夫婦は、自分らを忌み嫌う人間への復讐って感じでしょうかね?

  8. Ken より:

    皇帝のイメージ、ばっちりです。
    あれっきり、出て来なかったらどうしようかと
    思ってました。(笑)

  9. びといん より:

    すしバーさん江
     なるほど。じゃぁ、最終回は、皇帝が現代環境を憂いながら再び封印されるというような感じですかねぇ。
     環境問題にも言及して、なんか子供向けの特撮番組っぽいじゃないですか!

    Kenさん江
     よかった。こんな感じでオッケーですか。
     でも、俺には大僧正だけで荷が重いので、皇帝はこれ以上登場しないかもしれない。
     それよりも、勢いで冒頭にレッド・ミキを出してしまいましたけど、どのパターンで使おうか思案中です。出だしで伏線張り過ぎました(笑)。

  10. おお、びといんさんと同じ日に本編スタートですね。10)まで行きますか!お互いがんばりましょう。
    いよいよ敵側の幹部が登場ですね。
    ネズ神博士楽しみです。
    それに黒島さんとか、大岳さんをすぐに登場させるあたり心憎いです!(笑)
    大岳さんなんてうまく表現できてますよね。
    姉御って感じです。

  11. すしバー より:

    「わしの大好きな山々も、緑の森も切り崩したお前たちこそ滅びるべきだ!」
    とか言うんですよ。きっと。

    愛って、ある一面ではエゴですよね。

  12. アグリコ より:

    おっ! 待ってました!
    第一印象として、なんか温かみが感じられますね。
    馬場鉄工所の面々、みんなウエットですね。

    私も淑大僧正で手一杯で、邪魔皇帝まで届きませんでした。
    でも、実はいるんですよね。
    ここら辺で登場させないと、日本侵攻が早まりそうです。

    大岳あぐり、ぴったしですよ。
    お任せしますから、好きに扱ってください。

  13. びといん より:

    通勤マンガーZさん江
     この(0)は、普段の俺のより短めでしょ。この量なら(10)くらい。
     本編……というか、主役の5人をどう描けるか不安です。女の子も戦闘シーンも苦手なので(笑)。
     お互い頑張りましょう。

    すしバーさん江
     邪魔皇帝は、精霊の仲間かもしれないですね。地球を愛するあまり過激になりすぎた。幕末の勤王の志士みたいな。

    アグリコさん江
     馬場鉄工所の連中は、みな、作ったメカに自信があるので、戦闘状態でもあまり緊張感がないのかもしれません。そっち方面は司令部の方に任せてますし。もちろん、メカを作っている姿は真剣です。
     あぐりさんは、ぶっきらぼうだけど人情派ということで。でも、方言は苦手なんですよ。どうしてもウソになっちゃうし。どうしよう。だから、イエロー・マルの描写も、実は困ってます(笑)。

  14. あぐりこ より:

    方言とか、背景とかにこだわってしまうと、
    自由な発想ができなくなってしまいますよ。
    例えば、誰かがオーブクローラーには電磁波シールドバリヤーがあると記事にした、なんてことを気にすると、
    全然自分のストーリーが作れなくなってしまいます。
    私なんて、他人の書いた内容もデザインも、
    無視して書いてるのですよ。
    その方が、みんなの個性が発揮できます。
    それから比べたら、方言や登場人物のスタイルなんて、小さいですよ。
    びといんさんの物語、これだけで素晴らしいから、
    どんどん書いてみたらどうでしょう。

  15. びといん より:

    あぐりこさん江
     そう言っていただけると、気が楽になります。
     まぁ、実際は、ご覧のように、俺もアレンジしちゃってますけどね。
     オーブファイブの場合は、暗黙のうちに、一本しっかりとした芯っが通ってますから、みなさん、のびのび好きにやってますもんね。
     いや、他の人の設定とちょっとリンクさせるってのも大好きなもので、贅沢な悩みかもしれません。
     ありがとうございます。

  16. BLOG STATION より:

    【玉猫戦隊オーブファイブ】ナレーター募集!

    こんにちは。『玉猫戦隊オーブファイブ』音響担当のKenです。このたび、番組の終わりに毎回、流れる「次回予告」を制作することになりました。そこで、BLOG S…

  17. http://between.blog.ocn.ne.jp/necopunch/2004/11/post_7.html

     ネズ神博士登場(1) <特務機関KINUSAYAの諸君、我はネズロン帝国の指揮参謀、淑大僧正である>  オーブクローラーでもサテライトZからの回線を受け、司令…